半世紀以上続く早朝の駅前清掃 小倉支部
日曜日の朝6時すぎ。まだ暗く、底冷えのするJR小倉駅前の大通りの脇道に、1台の軽トラックが止まっている。周辺では、ほうき、ちり取り、火ばさみ、ゴミ袋などを手にした数人が、歩道の清掃に黙々といそしんでいた。
小倉支部(是則晁生支部長)では長年、毎月第1、第3日曜の早朝に小倉駅前の清掃ひのきしんを実施。取材の数日前には、福岡県にも2回目となる緊急事態宣言が出されたが、屋外の人通りのない時間帯であることを踏まえ、感染対策を取りつつ少人数、短時間のひのきしんを継続している。
この活動はもともと、50年以上前に支部の青年会活動の一環として始まったもの。今では大人から子供まで参加者層は広がり、この日は大人5名、少年会員3名が参加した。
毎回、清掃用具を軽トラックに積んで集合場所に一番乗りするのが、脇正さん(68歳・三萩野分教会長)。支部の備品である用具を管理し、雨天中止の日以外は欠かさず駆けつけるベテランひのきしん者だ。
清掃範囲は、小倉駅南口から北九州モノレールの平和通駅までの約200メートル。脇さんは手持ちのカートにボランティア活動向けの緑色のゴミ袋をセットすると、誰よりも早くひのきしん開始。最近こそコロナ禍で人通りが減ったものの「週末にイベントがある時なんかは、4、5袋がすぐにいっぱいになることもある」と話す。
脇さんのひのきしんの原点は、信者家庭に育った10代のころ、就職先の横浜市内の駅前で始めたゴミ拾いだという。通勤中の電車内で「おふでさき」を読み、信仰に燃えていた脇さんは、退職して地元の北九州へ戻り、所属教会の会長職を引き継いでからも、支部のひのきしんに毎回参加。「これまで続けてこられた支部の先輩方の思いがある以上、たとえ一人になっても、やめるにやめられない」と脇さん。
30分余りのひのきしんを終え、全員でおぢばを遥拝するころ、ようやく空が白々としてきた。帰り際、脇さんは「子供の喜ぶ顔が好きでね」と運転席からお菓子を取り出し、参加した子供たちに笑顔で手渡していた。